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2017/0709

節税対策

贈与してから自宅売却!?それとも自宅売却してから贈与!?

【ケーススタディ】買い換えの相談の際の実例をご紹介。

土地の名義がお母様、建物がご本人名義の不動産Aを売却し、
その資金を頭金としてに新居7,000万円の購入を検討しているお客様。

なお、売却予定の不動産Aは現在ご本人様のみ居住しており、
ローン残債はなく、4,000万円(建物1,500万円・土地2,500万円)で
売却見込みである。ちなみに路線価計算では土地1,800万円となっている。
このケースにて母親から「贈与」を行う場合、
住宅売却に先んじて贈与を行うか、住宅売却後に贈与を行うかの判断によって、
税額が異なってくることはご存知だろうか。

具体的な手順としては、

(1)適用可能な優遇制度があるのか否か。
(2)所得税・贈与税・相続税等どの税金で納めるのが良いか。
を確認する必要がある。

(1)適用可能な優遇制度
想定すべき制度は下記の通り。
・譲渡所得の3,000万円特別控除
・軽減税率
・住宅資金贈与
・暦年贈与
・相続時精算課税制度

今回不動産Aのケースで、
【贈与してから、売却が良い場合】
(例)代々相続されていた土地であり、売買契約書が存在しない場合。

一連の流れは以下の通り。
まずは譲渡所得税の計算。(※経費は計算上見込まないものとする。)
ご本人の持分については3,000万円特別控除が適用出来るため、
1,500万円(建物)−3,000万円(控除分)=0円(税額)となる。
一方、お母様の持分については、ほぼ満額売却金額に対して税金がかかってしまう。
2,500万円×20.315%=507万円

つまり、なるべく多くの持分を「ご本人」が持っていた方が、譲渡所得税は軽減されるため、
先にお母様から贈与を行った方が得になる。

この場合にどの程度の持分を贈与するのが良いのかは、
譲渡所得税の税額・相続時精算課税制度を使用した場合に増加する相続税額等
を比較して最適な割合を確認していく必要がある。
【自宅売却後、贈与が良い場合】
(例)土地の売買契約書(20年前に4,000万円で購入)が残っており、
かつ贈与に時間をかけても良い場合。

こちらも一連の流れは以下の通り。
まずは譲渡所得税の計算。(※経費は計算上見込まないものとする。)
ご本人の持分については3,000万円特別控除が適用出来るため、
1,500万円(建物)−3,000万円(控除分)=0円(税額)となる。

また、お母様の持分については以下の計算、
2,500万円(土地)−4,000万円(過去の取得費)=0円(税額)となる。

ちなみにこちらの場合、初年度(新住宅購入年)に
700万円(住宅取得資金贈与の非課税枠)+110万円(暦年贈与の上限額)
で合計810万円を贈与、その後暦年贈与の範囲内で毎年資金贈与を続ける。
(ご本人様に家族がいる場合は家族にも暦年贈与)

このように贈与を行うタイミングによっても、大きく税額が変わってくる。
約500万円の節税、あなたにとって大きな勉強代ととらえるか?
それとも、その500万円をお子様の教育費の一部に充てるのかは、あなた次第。

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