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2021/1029

その他

「生産緑地2022年問題」

私自身もお客様を物件にご案内した時に隣地が畑でしたので、眺望が良かったのですがお客様より「ここに高い建物など建ちませんか?」と質問され、調べると生産緑地だったので、ここ数年は建物が建つことはないですが、2022年以降は所有者次第で・・・という形で的確な返答ができなかった記憶があります。

ここで、来年迎える「生産緑地の2022年問題」とはなにかを詳しくまとめてみました。

「生産緑地の2022年問題」とは、1992(平成4)年に生産緑地法が改正されたときに指定を受けた生産緑地が、30年を経過する2022年に一斉に指定を解除されることによって、不動産市場の混乱や都市環境の悪化などが起こるおそれがあるとされている問題です。

生産緑地はその指定から30年が経過すれば、市町村に対して時価で買い取ることを申し出ることができ、市町村が買い取らず、さらに他の農業希望者へのあっせんも不調の場合に、生産緑地法による制限が解除され、開発や売買が可能になります。

(注) 生産緑地指定から30年が経過したら、自動的にその指定が解除されると誤解している方もいるようですが、正しくは、買取り申出、あっせん、行為制限の解除を経て、指定の解除という手続きの流れになっています。

しかし、財政難などの理由から、市町村による買取りがなされた実績はほとんどないようです。買取り申出がされた場合には、その大部分は生産緑地法の制限の解除がされると予想されています。

行政としては、2022年問題による生活環境や不動産市場の急激な変動を予防し、都市における緑地の保全を図るために、生産緑地法の改正が行われて生産緑地制度の延長と拡充がされ、それに伴って関連する税法などの法整備も行われました。

■生産緑地制度の延長・拡充を図る特定生産緑地制度

平成29年に生産緑地法の改正が行われて、特定生産緑地制度が新しく作られました。これは生産緑地制度の延長を目的とするものです。

① 生産緑地の10年延長ができる特定生産緑地制度

② 生産緑地に指定できる最低面積を300㎡へ引下げ

③ 生産緑地内に設置できる施設等の追加

■関連する税法などの整備

平成29年の生産緑地法改正は、都市農地に対する政策の転換を受けて、特定生産緑地という新たな制度を設けるものであったため、多くの関連する法制度の整備などが必要になりました。

① 贈与税・相続税の納税猶予を特定生産緑地にも認める改正

② 固定資産税の軽減を特定生産緑地にも認める改正

③ 生産緑地の貸付けを容易にする新法の制定

などになります。

以上のことより、2022年問題の対策は改正されましたが、実際にどれだけの生産緑地が解除され、市場にどの程度の土地が出回るかをみて今後の対策を講じなければなりませんが、環境の悪化のことを考えると、対策自体も問題の先送りにしているようにも思えます。

事実(過去)やルール(生産緑地法改正)などは知ってた上で、環境問題などからの視点で以前に上げましたSDGsにも関連して根本からの対策が必要ではないでしょうか?