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2018/1008

節税対策

~広大地評価の改正について~

相続財産のうち、大きな割合を占める『土地』。
土地の評価額については通常『路線価×地積』で算出されますが、その土地の形状や付近の状況に応じて減額をすることができることをご存知でしょうか。
中でも『地積規模の大きな宅地』に 該当した場合は、大幅な減額計算が認められています。  
しかし平成30年1月1日以後の相続・贈与について、広大地評価の適用要件が明確化されるとともに、土地の形状等を反映した評価方法に見直されました。
本日はこの改正に伴う影響について詳しく解説していきます。

1.地積規模の大きな宅地とは
三大都市圏においては500㎡以上の地積の宅地、三大都市圏以外の地積においては1,000㎡以上の地積の宅地をいいます。なお、路線価地域においては普通商業・住宅併用地区又は普通住宅地区に限定されます。
その他、指定容積率400%(東京都特別区では300%)以上の地域に所在していないことなど、一定要件があります。

2.なぜ地積規模が大きいと減額評価されるのか
地積が大きい土地であれば価値が大きくて当然と考えがちですが、そう単純ではありません。 例えば、広い土地を業者に売却すると考えた場合に、売却先の1つとして考えられるのはマンション業者です。
マンションを建てるのであれば、土地を余すことなく使用できますので、広い土地は価値が高くなります。しかし、マンションを建てるには法律上制限がある土地もあり、その場合は戸建て住宅用に土地を分譲せざるを得ない場合もあります。
戸建て分譲住宅では、住宅を分譲する関係上、通り道として住宅道路が必要となり、その分だけ低い金額での売却になってしまいます。この点を考慮して、土地の評価上も減額がされるのです。

3.評価額の計算方法
(改正前)評価額 = 路線価額 × 規模格差補正率 × 地積  
(改正後)評価額 = 路線価額 × 各種補正率 × 規模格差補正率 × 地積

各種補正率は、いびつな形の土地の評価を減額するための補正率で、規模格差補正率は、土地の大きさを考慮して減額するための補正率です。
つまり、その土地の形状と地積の大きさを考慮した評価が可能になったのです。

現行の広大地評価では、地積が同じであれば、どんな形の土地であっても評価額は同じでした。
しかし、改正後の評価方法では、正方形に近いきれいな形の土地は、現行の広大地評価で算出した額より、評価額が高くなってしまうのです。
では実際の評価額ではどれくらいの差があるのか、以下のケースについて、現行の評価額と改正後の評価額を計算してみましょう。

4.計算例
(前提)路線価80,000円、三大都市圏、正方形の土地1,600㎡
(改正前)80,000円(路線価)×(0.6-0.05×1,600/1,000)×1,600㎡(地積)=66,560,000円
(改正後)80,000円(路線価)×0.92×0.75×1,600㎡(地積)=88,320,000円
改正後の評価額は、現行の評価額と比べて、21,760,000円も高額になっています。
割合にしてなんと約33%も増加しているのです。

相続税法をはじめとし、民法も大きく改正された・もしくはされる予定のものが多々あります。
相続における分割は“民法”が重要です。
数年前の想定や準備、対策が現状では思っていたような効果を発揮しなくなっているかもしれません。

まだ明確な対策は行っていないが危機感がある、
3年以上前に分析・対策を完了させている
上記該当する方は一度再検証の機会をもたれても良いのではないでしょうか?