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2018/0116

節税対策

二世帯住宅の小規模宅地特例を活用する際、気をつけたい登記のこと

二世帯住宅は相続時においても大きな経済的メリットがあります。
2015年1月1日から相続税の税率構造が変わり、相続税の基礎控除額が引き下げられ、最高税 率が引き上げられることにより、今まで相続税がかからなかった人でも、相続税を支払わなければならない可能性が出てきました。

相続人が1人の場合、これまで5,000万円+(1,000万円×法定相続人の数)=6,000万円だった基 礎控除額が引き下げられ、2015年1月1日からは3,000万円+(600万円×法定相続人の数)= 3,600万円になります。
基礎控除額が2,400万円も引き下げられています。

財産の中で最も割合を多く占めるのは「土地」になりますが、被相続人が自宅用に使っている被 相続人名義の土地を、被相続人と同居している子が、遺産分割が整ったうえで相続し、相続税 の申告期限まで居住と所有を継続した場合は、一定面積まで80%も減額されます。
二世帯住宅でも上記特例を使用できますが、登記上での注意点があります。

原則として、2014年1月1日以降の相続では、特例が緩和され、共用二世帯・完全分離二世帯 の区別なく、「子世帯の子は同居の子」として、二世帯住宅に対応する敷地全体を、この特例適 用により相続税の申告期限まで居住と所有を継続することで、80%減額で相続できるようになりました。

さらに、2015年1月1日以降は、自宅用土地の特例適用対象面積の上限が、240平方 メートルから330平方メートルに拡大されることとなりました。
2014年1月1日からの相続で二世帯住宅の取扱いに関して要件が緩和された「小規模宅地等 の特例」ですが、完全分離型二世帯で親世帯と子世帯を区分登記した場合の扱いは逆に厳しくなりました。

区分登記をすると、親世帯と子世帯は分譲マンションの別な住戸と同様に扱われ、子世帯に一部でも子の名義が入ると、子は「自宅を所有する別居の子」として、自宅土地用の 特例が全く適用できなくなります。

また、区分登記して、子世帯が居住する部分を親名義にしても、子は「自宅を所有していない 別居の子」となり、【被相続人に配偶者が無く、親世帯に同居相続人もいない場合で、相続開始 前3年以内に居住家屋をその配偶者も含んで所有していない】という条件が揃ったとしても、特例対象にできません。
このため、2014年1月1日からの二世帯住宅の取扱いの緩和を有効に適用するには、下記の方 法が必要です。

・区分登記をしない。
・登記は1つにする。※親の単独登記か、出資割合に応じた共有登記にする

すでに区分登記で登記された二世帯住宅の場合は、合併登記や合体登記といった方法で土地家屋調査士に依頼し、区部登記を1つの登記にすることが可能です。ただし、ケースによってはかなりの労力と費用がかかる場合があります。
まずは相続税が本当にかかるのか試算をし、費用負担をした上でも区分登記を変更する必要があるか検討してみましょう。