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2017/0903

資産運用

「定期借地権」の有効活用

親から引き継いだ土地、うまく活用できないか?
賃貸の建物を建築しないで土地活用を行うのであれば、定期借地という制度を利用する選択肢があります。
賃貸物件を建築するよりも事業リスクが少なく、長期間安定した地代収入を得ることができるかもしれません。

今回は「定期借地権」制度解説です。
定期借地権の制度の歴史は、まだ浅く平成4年に施行された
借地借家法によって創設されました。

【定期借地権に共通する特徴】
1.契約更新が無く、契約期間満了後、土地が必ず戻ってくる
2.事業リスクが少なく、地代収入が安定している
3.保証金などの一時金を受けることができる
4.土地の相続税評価額が減少する
5.物納対象土地とすることもできる

【一般借地権の解説】
住宅系の土地活用に非常に多く利用されています。
50年の長い賃貸期間であるものの、安定した地代収入を得ることが出来る為、
大型分譲地やマンション敷地などに利用されることが多いです。
戸建分譲の定期借地権の場合、敷地区画ごとに分筆しますので、相続の際には相続人が区画ごとに分割承継できます。

【建物譲渡特約付借地権の活用】
ハウスメーカー等の借地人が建物を建築して、専門家として不動産賃貸事業を行う場合、
30年後に土地契約者が建物を買い取り、賃貸を継続する方式があります。

【事業用定期借地権の特徴】
交通量の多い幹線道路沿いの土地で、店舗などの商業系の建物を建築する際に
多く利用されます。
土地価格に対する利回りが3%~5%(住宅系は1%~2%)、賃貸期間が20年程度。
事業リスクを負担せずに長期間安定した地代収入を得ることを望む場合に適しています。

【税務上の取り扱いと地代の前払い方式】
定期借地権を設定した場合、通常保証金や権利金などを収受します。
保証金は一般的に税金は課税されませんが、期間満了後に返還する必要があります。
一方、権利金であれば返還の必要はありませんが、一度に多額の所得税が課税されることがあります。

【新たな仕組み】
(地代の前払い方式)将来の地代を一括して前払いで受ける方法です。
例えば、年間地代が100万円で50年間の賃貸期間であれば、
当初5,000万円を前払地代として収受します。
返還する必要のない多額の一時金を得ることができ、かつ、
地代は毎年100万円として所得税申告すればよいため、所得税負担も多額にならない
メリットがあります。
(※地代に対して毎年所得税が生じるため、税負担を考慮しておく必要があります。

【FPとしての見解】
定期借地権が設定された土地は、評価額にも影響が出ます。
当然、更地に比べて評価額は減少することになりますが、
前払地代を収受すれば現預金が増加します。
そこで、収受した一時金の全部(又は一部)を活用して新たな投資や、
他の土地に賃貸住宅を建築することが出来れば、さらに相続税対策の効果を
得ることができます。
定期借地制度は単体で考えるのではなく、土地の有効活用や資産の組み換えと併せて考えることをおススメします。