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2017/0806

資産運用

等価交換による土地活用

先日お客様から、このような相談がありました。

「現在、親から引き継いで駐車場として利用している土地があり、マンションを建築することを検討していました。しかし、私達では建築費を捻出することが出来ず、またローンを組んでまで建築する気になれません。何か良い方法はないでしょうか?」

今回はその際に提案した「等価交換」での土地活用を紹介します。

「等価交換」事業とは?
土地を良い開発業者へ譲渡し、その後その土地に開発業者が建築した建物の一部を買い替え資産として取得する方法を指します。
土地の所有者様は、土地譲渡代金に見合う建物の持分を保有することになります。考え方は、土地と区分所有建物の交換と言えます。

【メリット】
資金が無い(ローンが利用できない)状況でも資金負担なく土地を有効活用できます。
※土地同士の等価交換による固定資産の交換と混同しがちですが、土地の有効活用の等価交換事業は全く別物ですのでご注意下さい。

【土地譲渡に係る税金】
原則として土地譲渡益に譲渡所得税が課税されます。
しかし一定の要件を満たすと譲渡所得税を100%繰り延べすることが出来る特例があります。(立体買換えの特例)
①買換資産の価格が土地譲渡益に対して同額であり、全てを買換資産に充当した場合、課税所得税は課税されません
②買換資産の価格が土地譲渡益に対して低く、金額受領を一部選択した場合、譲渡代金との差額は譲渡所得税の課税対象
※あくまで繰り延べで免除ではありません
※譲渡資産の利用状況は問われませんが、買換資産を居住用又は事業用とする必要があります。

【相続対策として活用】
所有財産が土地から建物に替わることで、保有資産の評価を下げる効果があります。
具体的には賃貸事業用の建物が建つ「土地部分」は貸家建付地の評価減が適用されますので、相続財産が大きく減少します。
(ちなみに等価交換事業は土地の一部を売却し、その代金で建物を建築することと同じです)
また唯一の資産が土地であり、将来遺産分割協議で争族になってしまうようなことが懸念される場合、等価交換を使って土地を建物に換えておくことで分割が容易になります。
(例)相続人が複数人の場合
①誰が相続するかでトラブルになる可能性がある
②共有名義にすると権利性が失われる
③分筆することで資産性が失われる
→解決策:部屋ごとに相続させることで、財産を共有させることもなく、相続人ごとで分けて小計させることが出来る

【デメリット】
①それまで土地に住んでいた方の利益が失われる可能性がある。
②建物の減価償却費が減少する
土地譲渡代金の全てを買換資産に充てた場合、立体買換えの特例を適用することにより、
譲渡所得税の負担が一旦なくなります。しかしこの特例は繰り延べであるため、買換資産の取得価格は実際の金額とはならず、
譲渡した土地の取得価額を基礎とした低い金額となります。つまり買換資産が事業用である場合には減価償却費が少なくなり、
その後の不動産所得が増加します。
事業用かの買換え特例と同様に立体買換え特例を適用した場合としなかった場合のシミュレーションを行う必要がある

メリットが多い等価交換事業ですが、しっかり検証した上で選択をしないと思わぬデメリットを享受してしまうことになります。

検討なさる場合は一度ご相談下さいませ。